熊野筆

Pocket

広島の伝統的工芸品の1つに熊野筆があります。熊野筆は名前の通り安芸郡の熊野町で生産されている筆で、昭和50年に広島県で初めて伝統的工芸品に指定を受けました。

熊野筆は大きく分けて書道用筆・画筆・化粧筆、そして記念品として作られる誕生筆があるのですが、現在は毛筆・画筆・化粧筆のいずれも国内生産量の8割以上というトップシェアを占めています。

筆の原料には動物の毛です。主にヤギ、馬、イタチ、鹿、タヌキなどなのですが、そのほとんどは中国やカナダからの輸入です。また、筆の軸は岡山県や島根県の竹を利用しており、中国や台湾からも輸入されています。熊野町には筆の原材料はないのです。それでは何故熊野で筆づくりが盛んになったのでしょうか。

筆と熊野のつながりが生まれたのは江戸時代末期です。農業だけでは生活が苦しい熊野の農民が奈良地方から筆や墨を仕入れて販売を始めた事がきっかけでした。このころから筆づくりも始めていたそうです。

その後、広島藩の工芸推奨のため、全国に筆や墨を販売するようになり、本格的な筆づくりが始まっていきました。筆づくり職人を招いたり、当時筆づくりが盛んであった奈良県や兵庫県に人を派遣したりしていたそうです。そして、学校制度の成立とともに筆の需要が上がり、生産量が増加していきました。

戦争後は習字教育が廃止されたために生産量が落ちた時期もありましたが、後に画筆や化粧筆の生産も始まって現在のような伝統工芸品になりました。私も長年習字を続けているので一度上質の熊野筆を使用してみたいと思いました。

Pocket

この記事を書いた人